「いじめられる方に問題あり論」について

いじめについて一般論の枠をでませんが、自らの言葉でまとめておきたかったので、備忘的に記します。

先日、前後の話が何だったかは覚えていないのですが、40〜50代の上司2人が「いじめた方ばかりを叩くけど、いじめられる方にも問題があるよな」「いじめなんかなんぼのもんじゃい!という気概がないと駄目だ」という事を言い放ったので、なんとも言えない嫌な気分になりました。

この「いじめられる方に問題あり」という意見は昔からよくあります。しかし、「問題があるからいじめて良い」という道理はありません。問題があるなら注意すれば良いだけです。

また、「いじめに打ち勝つ気概」も確かに重要です。実際、勇気を持っていじめに打ち勝った例もごまんとあるでしょう。また、親や先生、友人がいじめに気づき、手をさしのべたことでいじめに打ち勝ったり、いじめから逃れたりしたという美談もよく耳にします。

にも関わらず、いじめで自らの命を絶つ子供がいるのは何故でしょうか。それは、その子にいじめに打ち勝つ力と、そのためにささえてくれる周りに人間がいなかったからではないでしょうか。

では、いじめに立ち向かう精神力と、支えてくれる人がいなかった子は自殺しても仕方が無いと言えるのでしょうか。

そんなアホな話があるかい!精神的に弱い人間は死ねというのか。確かに大人であれば、ある程度は自分の力で乗り越えないといけない場面も出てくるでしょうが、それを子供に押しつけることの乱暴さ。この残酷さが私は許せないのです。

自分の子に対して「いじめに負けてどうする」と背中を叩くことは、そりゃあるでしょう。でもその一方で「俺がついているから逃げてもいいぞ」とも言ってあげます。それは家族だからです。

ただし、赤の他人の子に対して、それを言ってはいけない。その子の親はそういう親じゃないのかもしれないし、そもそも親に恵まれていないのかもしれない。

それを無視して、「いじめに負けるな!」なんて無責任なこと口が裂けても言えません。